少し前に『Last Letter』(2020 岩井俊二監督)を観ました。タイトルからも分かるように、同じ岩井監督が撮ったLove Letter1995 岩井俊二監督)のテイストの作品です。豊川悦司さんと中山美穂さんが共演した『Love Letter』は好きな映画で、これを観た1995年は僕はもちろんいい大人になっていましたが、何だかすごく清らかなものに触れた感じで「汚れちまった自分にもまだこんな感動する部分が残っていたんだ……」というような気持ちになったのでした。また同時に、この作品を何十年後かに観ても僕はまだ感動できるだろうか……という意味で、僕の「感性」の試金石になった映画です。その後、この『Love Letter』を観ていないのは、社会人として年数を重ねた自分はもうあの頃のような「感性」を失っているのではないかという怖れの気持ちがあるからかもしれません。

そして観た『Last Letter』……良かったです。舞台も『Love Letter』が小樽と神戸だったのに対し、『Last Letter』は宮城(←岩井監督の出身地)になっているし、全く別のお話ですが、「勘違い」や「届くはずのない手紙」、「過去と現在の交錯」といった道具立てが共通します。『Love Letter』では同姓同名の二人、豊川悦司さんと中山美穂さんの若い頃を柏原崇さんと酒井美紀さんが演じていましたが、Last Letterでは福山雅治さんと松たか子さんの学生時代を神木隆之介さんと森七菜さんが演じるという作劇も同じような空気を醸し出します。25年の時を隔てた「双子」のような映画といっていいでしょう。

Last Letter』はさらに、松さんの亡くなった姉の学生時代と、その娘(松さんからしたら姪っ子)を広瀬すずさんが二役で演じます。という風に共通点の多い映画ですが、25年の時を経ていちばん作劇に影響したのは「手紙」ということでしょう。『Love Letter』の頃はまだそんなに携帯というのも普及していなかったと思いますが、今やひとりひとりが携帯やスマホを持っている時代です。そこに「手紙」という通信手段をどう中心に据えるかは難しい問題です。この映画ではその辺をうまく処理していますが、いずれにしても「手紙」という(メールやラインといったものより)面倒な手段だからこそ「大事なこと」が伝わるという効果が出たような気もします。簡単につながらない「不便」なほうが思いがこめられ、ドラマになるということですね。ともかく、よくできている映画で、「思い」と「記憶」への愛おしさに満ちています。また僕もこの歳になると、そこに「取り戻せない過去」への悔恨も加わって『Love Letter』とはまた別の「感性」にじんわりきた気がします。

それを感じさせるのが、後半、豊川悦司さんと中山美穂さんのコンビも登場する場面です。あまりに変わり果てた姿を見せますが、それも時の流れでしょう。詳しくは分かりませんが、共演自体も25年ぶりかなあ、撮影時はどんな思いだったでしょう。

そういえば、当ブログ1月30日に触れた『ロマンスドール』(2020 タナダユキ監督)で夫婦を演じた高橋一生さんと蒼井優さんも、たぶん『リリイ・シュシュのすべて』(2001 岩井俊二監督)以来ではないでしょうか。だとすると19年ぶりの共演。お互いにまだ子役だったふたりが濃厚なラヴシーンを演じているのだから時が経ったことを実感させられます。当たり前ですが、おふたりも子役時代には将来こうして大人のラヴストーリーで夫婦を演じるとは想像もしなかったでしょうね。

(ジャッピー!編集長)
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