ひとつ前の当ブログでちょこっと触れましたが、『星屑の町』(2020 杉山泰一監督)を観ました。元は人気の舞台劇だということですが、僕は知りませんでした。たしかに「舞台劇」的な場面もあり、特に、ムード歌謡コーラスグループ「山田修とハローナイツ」の面々のアンサンブルは最高でした。舞台でも演じているメンバーなので呼吸、間合いがお見事でした。

ラサール石井さん、小宮孝泰さんの「コント赤信号」組、太平サブロ―さん(シローさんは若くして亡くなってしまいましたね……)を見ると、かつての漫才ブームの頃を思い出すし、でんでんさんと渡辺哲さんはあの『冷たい熱帯魚』(2010 園子温監督)をどうしたって思い出します。有薗芳記さんもいかにもという「拗ねた」雰囲気が絶品で、それぞれのキャラが立っていました。そんなベテランの曲者役者の中に紅一点で入る「のん」さんが良かったなあ! 「のん」さんは、『この世界の片隅に』(2016 片渕須直監督)はありましたが、実写映画の出演は『海月姫』(2014 川村泰祐監督)以来ですから6年ぶり。当時はまだ「能年玲奈」でした(本名が使えないとはね……)

こんなに透明感のある女優さんを(いろいろ事情があるのでしょうが)使わずにいる映画界は大きな損失だと思います。

その「のん」さんが、劇中、「ハローナイツ」に入るためのオーディション?で唄うのが「新宿の女」です。藤圭子さんのデビュー曲で、僕も♪私が女になれたなら~私は女を捨てな~いわ~ という出だしからソラで唄えます。1969年という僕の感性がもっとも敏感だった時期(当ブログ20191231日参照)に聴いたことも大きいでしょうね。当然、藤さんのドスのきいた「怨歌」という感じではないですが、「のん」さんの歌唱が何となく「昭和」感を醸し出すのは、やはり「のん」さんの一所懸命な

不器用さというような個性ゆえでしょう。

また、黒いハットを被った「のん」さんが、キラーズのように「ハローナイツ」を従えて唄う「恋の季節」も良かったです。ピンキーとキラーズの「恋の季節」が流行った1968年は僕の父も兄も生きており、4人家族だったわずかな時間を思い出すのです。4人でちゃぶ台を囲んだ晩御飯の時間、テレビの歌番組から「恋の季節」が流れてきて、父が「この子(ピンキー)はいいな」と言ったことを覚えています。ほとんど、若手の歌手を褒めたことのない父だったので強く記憶に残っているのです。そんな個人的な思い出もありますが、あの頃は家族でひとつのテレビを眺め、ひとつの歌に聴き入った時代だったのです。そういう意味で、歌謡曲というのはパワーを持っていましたし、国民的ヒットが生まれたのです。時は流れ、家族揃っての団らんも少なくなり、それぞれの個室でテレビを観る時代もとうに過ぎ、みんな各々が下を向いてスマホの小さい画面に見入るようになりました。こうなってはもう本当のヒット曲って出てこないでしょうねえ。ある時代を振り返るとき、「この曲!」と浮かぶ曲の記憶を共有するってことは昭和までだった気がしています。

他にも「ハローナイツ」によって唄われる、島倉千代子さんの「ほんきかしら」、内山田洋とクールファイブの「中の島ブルース」も良かったですが、「ハローナイツ」のメンバーが控え室でモメている間、前座?の戸田恵子さんが歌唱する、由紀さおりさんの「手紙」、加藤登紀子さんの「愛のくらし」も素晴らしかったです! さすが元々歌手でデビューした戸田さんです。その歌いっぷり、もっていかれます! (ジャッピー!編集長)

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