ダウンロード 黒い花びら
水原弘さんのデビュー曲にして第一回レコード大賞を受賞した「黒い花びら」は、翌年、水原さん自身の主演で映画になっています。「黒い花びら」(1960 瑞穂春海監督)の舞台となるのは月島で、今のようなもんじゃ焼き屋さんが並ぶ街とは違い、全くの工場地帯です。水原さんの役名は弘。今はバーテンとして真面目に働き、恋人の光子(水野久美)はコーセーの化粧品の訪問セールス・ウーマンです。近所の小学生・新二は弘を「あんちゃん」と呼び慕っていてよく遊んでいます。ガラクタを集めるのが好きな新二は親から「始末しなさい」と怒られ、その木箱を弘のアパートに持ってきて預かってもらいます。
弘の前に昔の悪い仲間が現れ、ある会社の守衛をやってる織田の制服を借りてこいと言います。それを着て守衛に化けて会社のボーナスを奪おうというのです。弘は拒むが、光子に過去をバラすぞと脅され、やむなく新二に「芝居をやるのに使うんだ」とか言って守衛の制服を持ってこさせます。それを使い、1000万円もの金を強奪したギャングは、弘の部屋にあった木箱に金を隠しますが、自分が利用されたことを知った新二が「あんちゃんなんかキライだ!」と木箱を持ち出し、気づいたギャングたちが追いかけます。そして弘は新二を助けるため体をはって、ラストは水辺でのアクション・シーンです。
弘の恋人の光子は、友達に「ねえ、あなたの彼、大丈夫? 何かカゲのある感じがするわ…」と言われます。恋人を大事にしているし、子供にも優しい好青年だけど、ワルだった過去がちょっと滲みだす役柄は水原さんのキャラにうまくフィットしていたと思います。また、脅迫されている弘が突然「北海道に行ってやり直そう」とか言うので、結婚して二人で暮らすアパートを探している光子は不安になって「あの人のことわからなくなっちゃた。あなたが前に言った通りね」とこの友達にこぼすと、「あの人にはあなたの支えが必要なのよ、絶対に」と励まされたりします。この辺ものちの水原弘の破滅的な実人生を何とか支えた奥さんのことなど思い出させます。
新二の両親を演じるのが、織田政雄と菅井きんで、この時代の貧しい庶民のリアル感たっぷりです。守衛さんのボーナスは5万円で、菅井きんが「ありがたいけど…お金ってのはすぐ右から左へなくなっちゃうからね…」と言うと、新二が「洋服買って、少し正月の小遣い残るからいいじゃないか」と励ますのが泣かせます。また、弘の昔のギャング仲間のボスが太宰久雄で、左頬にキズなどつけて、「恋人はお前の昔のことを知らねえんだろ…」などと脅迫し、後年タコ社長になるとは思えない悪玉ぶりでした。わずか67分の上映時間の小品ですが、「黒い花びら」の歌は3回、フルコーラスで流れます。
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