先週の金曜日、9月30日に新文芸坐で「無声映画鑑賞会 No。698」が開催されました。今回は、溝口健二没後60年ということで、「溝口健二の復元された映画たち」というタイトルで、「瀧の白糸」(1933)(3つのプリントの最も画質のいい部分をつないだ最長版をデジタル修復したもの)と、「ふるさとの歌」(1925)(5年前に岩手大学で発見された染色版プリントの復元版。超キレイでした!)の2本を活弁付きで上映されました。
この「ふるさとの歌」は、現在観ることの出来る最も古い溝口作品です。1925年というと、大正14年、都会の快楽的な生活が農村に侵入してくるという物語で既に「地方格差」が描かれています。それはいいのですが、この映画は当時の文部省が委嘱したプロパガンダ映画なのです。成績はいいのに貧しく上の学校に行けない主人公が「学業よりも農業につくことこそ大事」と突如熱弁をふるったり、かなり強引に「国家の望む若者像」を宣伝します。当時は娯楽も少なかったし、メディアに対するリテラシーの教育なんかもされていなかっただろうから、この映画を観て、「そうか、これが正しい生き方なんだ」と素直に信じた人も多かったでしょう。金曜日に弁士をつとめた斎藤裕子さんはだいぶ台本を「やわらかく」するなど苦労したとおっしゃっていましたが、それこそ、当時のこういったプロパガンダ映画は活動弁士の胸三寸で相当な洗脳効果があったのでしょう。
こうしたプロパガンダ映画が遠い昔のものと思ったら、この平成の世にもありました。先日も取り上げた「シン・ゴジラ」(2016 庵野秀明監督)です。昨年の9月、戦争法案の可決を待つようにしてのクランクイン、今年の臨時国会直前、しかもオリンピックというナショナリズム高揚期というタイミングの公開、緊急事態条項の成立を正当化するような不安をあおる展開、子供を対象にしない内容は憲法改正についての国民投票の有権者に向けている……と国策的要素がいっぱいです。女性防衛大臣(余貴美子さんが演じていました)は現・稲田大臣ありきで安倍首相の意図がキャスティングにまで及んでいる?とまで勘ぐってしまいますね。最後の「日本はやれるんだ」というメッセージも安倍首相の「一億総活躍社会」を補完しているような……。
庵野監督は安倍首相と同じ山口県出身だというし、やはり、「シン・ゴジラ」の「シン」は安倍晋三の「晋」ですかね。
(ジャッピー!編集長)
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