10月23日に元・小結の羽黒岩さんが亡くなったというニュースがありました。羽黒岩ときいてもピンと来ませんでしたが、その前の四股名、戸田と聞くと、横綱・大鵬の連勝を止めた力士だ!と記憶が鮮明に蘇ってきます。何しろ、あの頃の大鵬といったら、負けるなんて考えられなかった無敵ぶりで双葉山の69連勝を破るのは間違いなし!と小学生の僕も思っていたのでした。それが、平幕の力士に負けて45連勝でストップというのだから大事件でした。戸田という本名そのままのシンプルな四股名も強く印象に残りました。
ところが、その一番の写真には戸田が足で払った砂ぼこりが映っていたのです。大鵬よりも先に戸田が土俵を割っていた証拠となって、この一番は「世紀の大誤審」として知られるようになりました。1969年春場所のこの一番がきっかけになって、相撲協会は勝負の判定にビデオ映像の確認を導入することを決定したのです。これが、日本で最初のスポーツへのビデオ判定導入だったのですが、野球やサッカーなど外国産のスポーツではなく、相撲という国技が第一号というのが意外ですね。
そして、いろいろなスポーツで今や「チャレンジ」とか言って、監督がゲームの進行を止めてビデオで確認を要求したり、審判もビデオで確認するなんてことが当たり前になりました。今、熱戦が続いている日本シリーズでも、第二戦、本塁上でのランナーへの捕手のタッチをめぐってビデオ確認で審判の判定が覆ったケースがありましたね。確かに、必死にプレイしている選手やチームのために正確なジャッジをするということは大事でしょう。そのために審判も技量を磨いてほしいと思います。しかし、すべてビデオや機械頼みになってしまうと何だか味気ないものになってしまうような気がします。誤審も含めてスポーツ、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、人間がやっているから間違いもある、という寛容さがあっていいと思うのです。だって、スポーツ観戦で呼び起こされる感動というのは、「人間」が力や技を駆使し、できるだけ強く、速く、正確にプレイしようとする姿によるのです。それをロボットがやったって感動する人はそんなにいないでしょう。そして「人間」がやるプレイだからこそ、ミスがあり、失敗があり、ドラマが生まれるのです。審判も人間です。ピッチャーが投げて、本当にこれ以上ないようないい球が来たとします。1ミリはずれていたとしても、その審判をうならせて思わず「ストライク!」と言わせてしまう……そんなことがあっていいんじゃないですかね。
ただ正確であればいいというなら、審判はロボットでいいということになってしまいます。AIの職場導入で管理化されて、気晴らしに野球観戦に来たら、ロボット審判に仕切られる試合を見せられる……そんなことにならないことを願います。
戸田は大鵬の連勝を止めた次の場所でも、今度は横綱・柏戸をやぶりました。これももつれた一番でしたが、今度は導入されたばかりのビデオ映像を参考にされ、勝ちとなりました。戸田の力士人生で金星はこの2つだけでしたが、見事にその名を大相撲の歴史に刻みました。  (ジャッピー!編集長)
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